有史前の惑星の女たち
　Women of the Prehistoric Planet
　　　監督：アーサー・Ｃ・ピアース
　　　1966年／アメリカ映画

　有名な新宿のカルト映画専門ビデオ店で見つけたもの。
　見ての通り、ビデオのパッケージには、円盤型の宇宙船と、槍を持った豹皮ビキニの女たちが並んでいる。なるほど、探検隊が未開の惑星でアマゾネスに遭遇する話のようだ。パッケージ裏の解説によれば、巨大なトカゲの怪獣も登場するらしい。怪獣マニアにして日本一の女ターザン評論家（笑）を名乗る僕としては、ぜひ観なくてはなるまい。
　宇宙船がハイジャックされて原始の惑星に不時着。別の宇宙船が救援のためにコースを変更して駆けつけるが、到着した時にはすでに惑星上では数十年が経過していた（相対論的効果のせいらしいが、そんなとこだけまともにＳＦされても困る）。
　救助隊の中にいた中国系のレンダという娘が、蛇に驚いて小さな池にボチャンと落ちたところを、やはり中国系のターザンのような青年・タンに助けられる。彼は不時着した宇宙船の乗員の遺児だった……とまあ、早い話が『ターザン』のストーリーを宇宙に置き換えただけだ。
　他の隊員はレンダを探すのだが、迂回したほうが早そうな小さな熱湯の池をわざわざ渡ろうとして足を滑らせたり、動かないクモに襲われたりして、次々に命を落とす。
　その他にも原始人の襲撃とか火山の噴火とかいろいろあって、ラストは定石通り、タンに惚れてしまったレンダは、彼とともにジャングルに残ることを選ぶ。実はその惑星は過去の地球で、二人はアダムとイブになったのであった……というオチ。なるほど、「有史前の惑星」というタイトルに偽りはなかったわけだ。
　……あれ？　豹皮ビキニのアマゾネスは？
　出てきやしねえ！（怒）
　ビデオのパッケージに騙されたことはちょくちょくあるけど、ここまで見事に騙されるとは思わなかったよ。
　あっ、トカゲ怪獣のほうはいちおう出てきます。もちろん本物のトカゲを合成しただけで、せいぜい体長３ｍぐらい（合成後のサイズが）。しかも出てきた瞬間に射殺されるので、画面に映ったのは正味20秒ほど。それ以外に出てくるのは、むさ苦しい男の原始人が５人だけ。
　なぜ小さなトカゲや原始人じゃなく、もっとおどろおどろしい怪物や恐竜を出さないのだ？……と考えているうち、これが予算の問題だけではなく、製作者のこだわりなのではないかと気がついた。人類が出現した当時の地球が舞台なのだから、恐竜や、ましてやアマゾネスがいるはずがない。主役２人を白人にしなかったのも、人類の祖先が白人ではおかしいと思ったからだろう。
　だからさ、そんなとこだけＳＦ考証してもしかたがないだろ！
　素直に恐竜とアマゾネスを出した方がよっぽど面白かったと思うんだがなあ。