ああ、恥かしいカン違い!
『空想科学読本4』206ページによれば、柳田氏はイラストの近藤ゆたか氏に教わるまで、「どの戦隊も5色の5人で構成され、リーダーは赤」と思いこんでいたのだそうだ。うわあ、そんなド素人が特撮ものについて論じるか!?
当然のことながら、柳田氏の特撮ものに関する解説は間違いだらけである。たとえば怪人・怪獣の弱点について論じた第12章。
●177ページ
ゴメスは「リトラのシトロネラ酸に弱い」。(中略)
空想科学世界の生物らしく、苦手なものも空想上の物質である。(後略)
シトロネラ酸は本当にあります。(あんな強酸じゃないけど)
●180ページ
ブラックピジョンも問題だ。「胸にある長さ10mの角は、敵に刺さると二度と抜けない」。(中略)しかし地球にやってきたとき、角には何も刺さっていなかった。こいつ、まだ一度も敵に勝ったことがないんだろうなあ。(後略)
ブラックピジョンは宇宙からやって来たんじゃなく、ヤプールが鳩を改造して作った超獣である。生まれたばかりなんだから、「まだ一度も敵に勝ったことがない」のは当たり前。
●183ページ
ギラーコオロギは「ライダーが1分以上受けていたら、かくじつに死ぬ殺人音波をだす」。これもいい線行ってるが、効果が現われるまでに1分もかかったら、仮面ライダーは委細構わず殴りかかってくる。キミが勝つためには、その猛攻に1分以上耐えなければならない!
ギラーコオロギの殺人音波を浴びている間、ライダーは苦しくて反撃できなかったんですけど。
柳田氏の考える殺人音波とは、1分間はまったく無害で、1分以上経つといきなり死ぬのだろうか?
●190ページ
(前略)『変身忍者嵐』の鉄人大王は「判断力がない」。これまた、大王としてはマズかろう。ドロボンともども、根本的に人生を考え直してはどうか。
(前略)ともかく、部下の皆さんは、こんな大王に仕えるのはやめて、田舎でノンビリ余生を送ったほうがいいです。
柳田氏は鉄人大王を敵の怪人だと思っているらしい。ぜんぜん違う!
鉄人大王は、村の発明じいさん・作兵衛(演じるは本人も発明マニアだった柳家金語楼)が造ったからくり人形。血車党のノミドクロがそのからくりの秘密を奪おうとする、というストーリーなのだ。ただのからくり人形なんだから「判断力がない」のは当たり前。もちろん部下もいるはずがない。
それにしても「根本的に人生を考え直してはどうか」って、どうやってからくり人形が人生について考えられるというのだ!?
戦隊ヒーローについて論じた第14章もツッコミどころが豊富である。
●208ページ
この138人に注目すると、不思議な傾向があることに気づく。第22代『星獣戦隊ギンガマン』のメンバーは異世界出身と思われ、また第24代『未来戦隊タイムレンジャー』のタイムブルー・シオンはハバート星人だが、他はすべて地球人。しかも、そのほとんどが日本人なのだ! 明らかに外国、あるいはそう思われるのは、わずかに3〜4人。(後略)
1億3000万年前から来たジュウレンジャーは?
その頃は日本という国はもちろん、日本列島すら存在しなかったんだから、彼らには日本国籍はないと思うんだが。
それにしても、「戦隊シリーズのメンバーは日本人ばかり」なんて分かりきったことを、今さら大発見のように感嘆符つきで言われてもなあ(笑)。
【追記】
うっかり見過ごしてて、僕も他の人から指摘されるまで気がつかなかったけど、シオンってタイムグリーンじゃん!
【追記の追記】
2刷以降はちゃんと「タイムグリーン」に訂正されています。
●209ページ
(前略)しかし、第2代『ジャッカー電撃隊』、第3代『バトルフィーバーJ』、第5代『太陽戦隊サンバルカン』、第15代『鳥人戦隊ジェットマン』は、後援する軍事組織があるにもかかわらず、隊員の全員または大半が民間人。(後略)
ええっ、そうだったっけ?
ジャッカーは確かに民間から優秀な人材をスカウトしてサイボーグにしたんだが、バトルフィーバーのメンバーのうち、ダイアン以外の4人はもともと国防省の倉間鉄山将軍の部下だったんだし、サンバルカンも、大鷲竜介は元平和守備隊空軍将校、豹朝夫は元レンジャー部隊員……「全員または大半が民間人」とは思えないけど。
●210ページ
(前略)特にジェットマンは、レッドホークこそスカイフォースの隊員だが、あとは女子高生、遊び人、農家の人、お嬢様。彼らに劣るという烙印を押されたスカイフォースの悲しみは、いかばかりであったか……。
だからさ、レッド以外の4人は偶然にバードニック・ウェーブを浴びてジェットマンになっちゃったんでしょ? 別にスカイフォース隊員より優れてたからスカウトされたわけじゃないんだが。
それにスカイフォースの基地は第1話で壊滅して、優秀な隊員はその際にみんな死んじゃったはず……悲しみようがないと思うけど(まあ、後でネオジェットマンってのが出てきたけど)
●210ページ
(前略)ターボレンジャーになれるのは、妖精族の生き残り・シローンの姿が見える者だけ。シローンと会話を交わす5人に、後見役の太宰博士は優しく語りかける。「君たちには、シローンが見えるのかい? 僕は妖精スコープを使わなければ見えないし、話もできない。君たちに見えるのは、君たちがシローンを心の底から信じているからなんだよ」。こらこら、オッサン。あんたは心の底からシローンを信じていないのか!?
「シローン」じゃねえぇぇっ!(涙+怒)
1箇所だけなら単純な誤記という可能性もあるが、ごていねいに5回も「シローン」って書いてあるんだからマヌケすぎ。
こらこら、オッサン、あんた本当に『ターボレンジャー』見たんか!?
【追記】
2刷以降は「シーロン」になっています。(やっぱ柳田さん、ここ見てるのかな……?)